東京高等裁判所 昭和27年(う)901号 判決
刑事訴訟法第三三五条第一項に有罪の言渡をするには証拠の標目を示すべき旨規定しているのは、罪となるべき事実と証拠との関係において、各証拠の内容を逐一具体的に挙示する要はないが、少くとも如何なる事実を如何なる証拠によつて認定するかの形式的関連は之を明白にすべき旨要求しているのであるから、二個以上の独立せる事実認定の証拠を示すには、その各犯罪事実毎に之を認めた証拠の標目を示すべきは当然であり、その事実全体につきその認定資料たる証拠の全部を一括して漠然列挙するは右法意に副わない措置である。
然るに、原判決においては、被告人等につき合計四個の独立せる所為を併合罪として認定しながら、その証拠として合計五十数個の証拠を一括列記しているのは前記関連性の明確を欠き証拠理由不備の違法ありと謂わざるを得ず、而してこの違法は判決に影響を及ぼすべきこと明らかであるから、原判決はこの点において破棄を免れない。
論旨は理由がある。